open  寂景 sabi-geshiki 

どこか侘しく、寂しく
それでいて落ち着くこの風景はなんだらう。
街を歩くときのほとんどは"一寸一杯"が目当てである。
ちょいと一杯のつもりなのだが三軒くらいは梯子する。
"まういつぱいくれよ檸檬など切らず"
確か三軒目のアノ店だった。

夕暮れ、目的の場所へ歩いた。
暑かったように思う。
私の向かうそこでは日本語が通じないのだ。
でも私は歩いた。喉が渇いていたし、疲れていた。
かなり歩いて、沖縄料理店を過ぎて、そこを右へ曲って50mほどだ。
旗が揺れている。灯りが点いている。
「コックプンカップ」
「あっコンニチワ ビア?」
「イエス ビアシンハー」
「暑いなぁ 冷房が効いてないぞ」
「・・・・・・・」
「エアコン」
「キョウヤスミネ」
「何言うてんねん。電気ついてるやんけ」
「エアコンヤスミネ ワンモービア?」
ノ ヽ``┼┐ヤロー

 

 

 

 

全身がブリキである。しかも錆びてゐる。
人の気配がしない。誰もゐないのであらうか。
遠巻きに何度も周辺を歩いてみた。
どこまでがこのブリキ家なのかも、々の区切りが分からない。
私は不審者と思われることを恐れてその場を去った。
今度はもっと観察してみたいと思うのである。

 

こんなドラム缶に出会ったのは初めてである。
ドラム缶の中で地べたとは違う営みがあるのだ。宇宙があるのだ。
カッパドキアのミニチュア版かっ!
不意に行ってみたいと衝動に駆られるが貧乏である。
こののち、この手のドラム缶に何度も出会ったことは内緒である。
ドラム缶がこの形になった時の音はきっとばばば~ん、とビックバンであったろう。

                                                                      

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